大原 義洋氏>「遊び8割、仕事2割」が自分流 世の中の風を読んで成功のヒントを得る。

遊びのなかで得たひらめきを、次々と成功に導くカリスマ創業者・大原義洋会長。 世の中の風を読みながら、着実に成功をつかんでいく快進撃は痛快だ。 「経営者は遊ばなアカン」が持論の大原会長が語る、ビジネスを成功させるための信念や手腕とは。

インベーダーゲーム開発から コンサルタント業への転身

のべ45年以上のラジコン歴をもつ大原会長は、小型飛行機の操縦も行う。「離陸したら、風を読みながら操縦する。いのちの危険を伴う遊びやけど、そのぶんスリルがあっておもしろい。ビジネスも一緒や」。その言葉通り、大原会長のビジネス遍歴は多彩で起伏に富む。 遡ること約40年。歯科医院に勤務していた会長は、趣味のラジコンサークルでゲーム業界の人物と知り合ったことから、レジャー機器の企画開発会社を設立。ゲーム開発に携わり、なかでも「インベーダーゲーム」は歴史に残る大ヒットとなった。しかし世間からは、ゲームセンターは不良の巣窟だとバッシングを受ける。「確かに、そう言われても仕方ない面もあったが、ゲームが悪者扱いされることが悔しかった」。 そこで、ゲームの権利を売却し、大原会長は動いた。「日本のゲームセンターを改革してやろう」と大阪平野に健全なゲーム店をオープンしたのだ。好立地でもない悪条件のなか、オープン時から売上げをトントン拍子に伸ばした。その手法は、低料金制と、子ども客に対する徹底的な企画サービスの実践だ。 その業績を聞きつけて、不振店舗の再建依頼や講演依頼など、コンサルタント的な仕事が続々と舞い込んできた。しかし、会長は言う。「コンサルタント業でお金をもらったことはない。逆にお金を貸して、売上げが達成したら成功報酬としてもらう。変わったコンサルタントや」。

宅配ピザへの参入 アイデア勝負で店舗を拡大

コンサルタントとして順調に歩んでいた大原会長だが、ある日、ふらっと入った喫茶店でピザと出会う。まだ、「ピザって何?」という時代であったが、ピザのおいしさにとりつかれた会長は、「これから日本で宅配ピザが急成長する」と確信して、引き受けていた仕事をすべて整理。「地方で成功すれば、都会でも通用する」と、奈良の郊外で実験的にピザの宅配を開始した。当時は、女性の社会進出が目覚しく、「母親が利用する宅配が必ず流行る」とピンときたという。 オープンした「ピザポケット」は、九州地方を中心に約65店舗を展開するピザチェーンに成長。なじみの薄かった食べ物だが、お好み焼きも同時に宅配することで認知度もあがり、大手チェーンにはないユニークなアイデアがうけた。また、ピザより焼き時間がかかるお好み焼きのデメリットを克服したいと、90秒で焼きあがるグリルを自ら開発した。 FC加盟店に対しては独立を引きとめない。むしろ資金がないだろうと、3年返済の条件つきで計9000万円を貸出したこともある。側近の一人から、「お願いだからやめてほしい」と泣きつかれたが、「社員とは、親と子の関係やと思っている。子どもはいつまでたっても子ども。困ってたら助けるし、子どもが親を超えたら独立するのは当たり前」と意に介さなかった。

危機一髪! 1億円をかけて 掘り当てた温泉

ピザの宅配業にとどまらず、今度は地域密着型で「お客さまの顔が見えるビジネス」をやってみたいと考えていた会長。そんなとき、スーパー銭湯を取り上げたテレビ番組を見て、「これや」と直感。まだ関西になかったスーパー銭湯への参入を決意した。しかし、スーパー銭湯の開業資金を融資してもらうためには、3億5000万円の年商を12億円まであげなくてはならない。そのために九州地方でピザチェーンを50店舗ほど展開し、なんと18億円の年商を達成した。 さて、いよいよ温泉づくりだが、大阪に近く、かつて都があった奈良から全国発信したいと考えた会長は、西大和の上牧町を訪れた。「約2万㎡の用地から、信貴山に沈む真っ赤な夕日を見て心が癒された。翌日には、空に美しい虹までかかってたんや」。スーパー銭湯の場所をここに決めた。 スムーズに話が進みかけたように見えたが、実際の温泉掘削期間は約5ヵ月。費用は1億円かかっていた。1500m掘ってもお湯が出ず、「もうアカン」と諦めかけたときにお湯が出て、大原会長の目にも涙があふれた。 2001年6月にオープンした「虹の湯 西大和店」は、壷湯、洞窟風呂、檜風呂などさまざまな風呂が楽しめる天然温泉。当時、1日の平均入場者数が1000~1200人といわれたスーパー銭湯業界で、開業3年後も1日平均2200人を集客し、日本一の入場者数を誇るスーパー銭湯となった。

日本一のカフェ 「まほろば珈琲」をオープン

「遊び8割、仕事2割がベース」と話す大原会長は、実際、月に5回ほど会社に行くだけであとは目一杯遊んでいるそうだ。遊びながら世の中の風を読み、成功のヒントをキャッチするのが生きがいだという。「ヒントを結んでいくと一つの線になる。 自分の考える事業が、その線上にあるかどうかや」と話すように、成功のヒントをキャッチしたとたん、自分だったらどうするかとことん考え、間違いないかと何度も自問する。仕事に対してはいつも本気だ。 そんな大原会長がいま力を入れているのは、奈良県上牧町にあるカフェ。滝が流れる庭を望める席など100席を有する「まほろば珈琲」は、昨年12月24日にオープンしたばかり。開放的で落ち着いた店内では、最高級の生豆を自家焙煎したスペシャルティコーヒーを飲みながら贅沢な時間が過ごせるとあって、すでに来客が途絶えることのない人気カフェとなっている。 「施設に1億円かけた日本一のカフェだが、スタッフのサービスや動線など、不満を言ったらきりがない。修正していきますよ」。日々の遊びで使用する高級ホテルや飲食店の上質なサービスのなかから、いいと思うことは、すぐに仕事にも活かす。 「自分の人生に90%満足している。あとの10%は今後どう生きていくか。世界一周旅行やオーロラを見に行くのもいいね」と笑う会長だが、まだまだビジネスチャンスをつかむ先見の明と、人をひきつける魅力の持ち主である。

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